沖縄に移住する際、たまたま手に取った一冊の本があります。
「島唄」で有名な宮沢和史さんの著書
『沖縄のことを聞かせてください』です。
本の序文の一節だけで頭を打たれました。
- 観光地としての沖縄は、青い空、青い海、優しい人々。そういった通り一辺倒のイメージで語られがち。
- 癒しを求めて殺到した人々の大部分は保養所のように沖縄を楽しみ、ホテルやお店の人を除けば、ウチナーンチュ(沖縄の人々)の誰とも対話することなく、沖縄戦の歴史も基地問題の現状も学ばずに帰る。
- 戦争の傷跡、基地の問題、開発による文化の破壊も、今もなお沖縄に色濃く残っている。
「癒されなければならないのは、沖縄の人たちなのではないか。」
朝のバイキング会場では、観光客が行列をなして思い思いに料理を取っては食べ、にぎやかに笑い合う光景。一方で、忙しそうに働き回っているのは地元のスタッフ。
これは移住前、家探しに訪れたビジネスホテルでの自身の出来事です。
沖縄の経済が観光業で支えられていることは理解しています。ただ、この光景には何か考えさせられるものがありました。
この本では、沖縄出身の著名人と宮沢氏の対談が続きます。具志堅用高さんとの対話では、東京で沖縄出身というだけで差別を受けた体験などが語られています。
私は「内地(本土)」から沖縄に移住した一人として、こうした背景を知ること、そして謙虚でいることは大切なことだと思います。
きれいな景色を撮ってSNSにアップするのもいいですし、自己承認欲求を満たすことも悪いことではありません。私も然りですので。
ただ、序文の一節を忘れずにこれからも生活していきたいと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。